研究課題/領域番号 |
16560032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
氏原 紀公雄 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (90017351)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 単一光子 / コヒーレンス長 / マッハ・ツェンダー干渉計 / 高Qマイクロキャビティ / 色素マイクロキャビティ / マイクロキャビティ / 高Qキャビティ / ローダミン6G / マッハーツェンダー干渉計 / 光子 / 光子コヒーレンス / コヒーレンス長測定 / 二次コヒーレンス度 / 光子計測 / 光子統計生成モデル |
研究概要 |
本研究では、色素をマイクロキャビティに導入してパルス光励起し、常温で単一光子を発生させる安価かつ簡便な方法において、常温の色素分子内緩和速度に起因する発生光子の極めて短いコヒーレンス長を改善し、フーリエ変換極限の単一光子を発生させることを目標とした。 1.高反射率反射鏡を用いて単一軸モードのQ値の高い平板形マイクロキャビティを開発するため、パワー反射率0.99999の反射鏡対によるキャビティを設計し、cm程度のコヒーレンス長を得ることを目指した。入手した反射鏡の反射率は0.99992であった。 2.高反射率反射鏡により高Qマイクロキャビティを2個作成し、比較のため反射率0.995の反射鏡によるキャビティも作成し、順に濃度5×10^<--3>mol/L、5×10^<-4>mol/L、5×10^<--3>mol/Lの色素Rhodamine6Gのエタノール溶液を封入した。パルスYAGレーザー第二高調波で励起し、蛍光強度を測定したところ、順次約1.5桁の強度差を得た。これらの特性は4準位レーザーモデルでほぼ再現できた。これに基づき、単一光子発生に必要な励起領域を推定した。 3.発生光子のコヒーレンス長測定のためのマッハ・ツェンダー干渉計を組み立て、光路差のゼロ点調整を行った。予想されるコヒーレンス長は高反射率鏡の場合約4mm、低反射率鏡の場合は0.1mmであり、mm以下のゼロ点調整を目指した。一方のアームの40nm程度の精度の移動台に、コーナーキューブを設置した。調整にはコヒーレンス長がcm程度の変調半導体レーザーを用い、干渉縞の繰り返し測定によりmm以下の程度でゼロ点を確定した。 4.理論面では、光励起マイクロキャビティにおいて単一光子状態を含む光子数確定状態を発生させるための条件を検討し、本実験で得られる光子統計を推定した。 5.主としてアラインメントの問題により、高Qキャビティからの光子のコヒーレンス長測定には至らなかったが、光子計数系との接続により、発生する単一光子のコヒーレンス長を測定できる段階に達した。低反射率反射鏡によるキャビティの場合に単一光子の発生を再確認した。 フーリエ変換限界の単一光子の発生は、今後とも基礎研究、応用研究の両面で各研究機関において継続され、長期的には量子情報技術に不可欠な基盤技術のひとつとなるものと予想される。
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