研究課題
基盤研究(C)
上記テーマを2年間で研究した。初年度では、炭素薄膜を通過する入射水素クラスターイオンHn+のエネルギー損失量ΔE(n)、および、間遠の陽子のエネルギー損失量AE(1)に対して、比率R=ΔE(n)/(n×ΔE(1))の膜厚依存性、エネルギー依存性を評価した。ここで、クラスターのクーロン爆発による変形を取込んでいる。その結果、1核子あたり約60keV以上ではRは1以上となり、膜厚の増加とともにRは1に漸近する。これは、現存する実験データとのよい一致をみた。一方、それ以下のエネルギーでは、Rの実験データが1以下であるのに対して計算値は依然として1以上となり、矛盾が生じた。これは、数個の束縛電子の存在を仮定すれば解決することがわかった。また、われわれが提案した平均電荷理論に基づけば、水素クラスターの中性化収率におけるクラスター効果も説明できることがわかった。さらに、複数原子を標的とした、C60や分子標的の多重電離断画稿を評価する方法を新たに提案し、アラインメント効果を予言した。次年度では、クラスター入射下での2次電子収量を理論的に研究した。最近の実験によれば、1原子あたり0.24MeVの炭素クラスターCn+(n=1-8)を炭素薄膜に垂直入射したとき、薄膜後方に放出される2次電子収率γ(n)およびそのエネルギー分布dγ(n)/dEは、粒子数nが増加するとき1粒子あたりの収率γ(n)/nは減少するという「負のクラスター効果」を示した。これを3段階過程モデル、すなわち、(1)入射クラスターによる薄膜内部での電子励起、(2)励起電子の出口表面までの伝播、(3)表面ポテンシャルの透過、というモデルで解析した。(1)の過程ではクラスターの初期荷電状態が反映されている。その結果、概ね、この「負のクラスター効果」を説明することができた。ただし、定量的には今後の更なる検討が必要である。
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すべて 雑誌論文 (30件)
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