研究概要 |
本研究課題の目的は,加工シミュレーションなどの固体の大変形問題に対する数値計算手法として,新しいEuler型計算手法であるマーカ積分特性有限要素法を開発することにある.研究期間において得られた成果の概要は以下の通りである. 1.固体の弾塑性解析のためのマーカ積分特性有限要素法の開発 物質時間微分を特性Galerkin法に基づき近似し,マーカ粒子を数値積分点として用いるEuler型有限要素法を定式化した.その計算アルゴリズムとして,計算過程をメッシュによる計算フェーズ(メッシュフェーズ)とマーカ粒子上で定義された物理量の更新(マーカフェーズ)に分離して,それぞれを交互に実行する手法を提案した.さらに,2次元の弾塑性体に対するプログラムを作成し,手法の基本的な妥当性を検証した. 2.熱伝導問題に対するマーカ積分特性有限要素法の開発 加工シミュレーションにおける塑性変形に伴う発熱とその熱伝導を取り扱うため,移動と変形を伴う物体内における熱伝導問題に対するマーカ積分特性有限要素法の定式化と計算アルゴリズムを開発した.変形解析に整合するものとして,メッシュによる計算フェーズ(メッシュフェーズ)とマーカ粒子上で定義された物理量の更新(マーカフェーズ)に分離して,それぞれを交互に実行する熱伝導問題に対する計算手法が得られた. 3.マーカ積分特性有限要素法に基づく変形と熱の連成解析アルゴリズムの開発 上述の熱伝導問題に対する計算アルゴリズムを変形解析と連成させることにより,塑性変形による発熱と熱ひずみおよび降伏応力等の変形に関する材料物性の温度依存性を考慮した弾塑性-熱伝導連成問題に対するアルゴリズムを開発した.
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