研究概要 |
骨格地図とは,根幹となる粗い地図から詳細地図を構築するためのデータ構造である.従来の略地図が,詳細地図から簡略化してできるのに対し,詳細地図が未だ整備されていない状況から,詳細地図を整備していくことを目的とした地図のためのデータ構造である.位相(接続関係)を主体としてデータを構築していくので,計量ベースの従来の地図とは異なるものである. 本研究では,1.データモデルに区間数を導入,2.処理システム改良,3.記述方法の改良,4.地図データ作成とシステム評価,5.地図の演算方式の確立,6.応用ツールの試作を目標とした.3年間の研究により,地下鉄駅構内延べ120駅分のデータを揃え,従来システムの改良を行い,システムの処理速度の高速化を図った.また,記述方法の改良として,データの正規化を提案し,ある骨格記述データに対してそれと描画結果が同一になりうる複数の骨格記述の中から最小の記述量になるものを見出す方法を検討した.データモデルへの区間数の導入は形式的な導入に留まり,大規模データへの適用には至らなかった.最終年度には,実用的応用への研究成果の結び付けに重点を置き,これまでに作成した骨格地図のデータ(地下鉄駅延べ120駅分)を活用してGoogle Maps等の詳細地図との連携をとることにより,詳細地図には描画されない地下鉄駅構内の骨格地図を詳細地図に結びつけるように処理系の改変を行った.このシステムは未だプロトタイプであり,これまでに作成したデータ全てとの連携には至っておらず今後の課題として残った.また,写真と3D画像とを合わせてキャンパス内3次元経路案内を行うシステムを別途開発し,このようなシステムのためのデータを骨格地図記述言語から自動的に生成するという課題を得た.
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