研究概要 |
高速車輌や航空機は,異物衝突により損傷を生じやすく,大事故につながる危険性がある.そのため,複合材構造の信頼性・安全性の向上を図るためには,損傷を非破壊的・自動的かつ実時間で検出する損傷モニタリングが重要となる.本研究では,圧電センサを埋込んだ知的積層複合材構造について,低周波のひずみ情報を用いて,衝撃荷重同定法を開発するとともに,同定した衝撃荷重より損傷解析モデルに基づき,複合材構造物の損傷位置と損傷程度を予測する損傷モニタリング法を開発することを目的とした. 平成16年度〜17年度において,本研究により得られた主要な成果は以下の通りである. 1.一つ実験データと数値手法に基づく衝撃荷重同定手法を構築した.衝撃荷重の履歴をチェビシェフの多項式を用いて近似し,同定精度と効率は大幅に向上された.また,CFRP板の衝撃実験でこの手法を検証された. 2.一つ実験データに基づく衝撃荷重同定手法を構築した.この手法の特徴として,直接実験データを用いて,衝撃荷重とひずみセンサの伝達関数関係を構築して,衝撃荷重の履歴と位置の同定に数値モデルが必要ない.このことによって,同定精度が大幅に改善し,複雑な複合材構造に対応できる. 3.上記の手法を用いて,CF/エポキシ,積層板CF/PEEK補強板とサンドウィッチ板などの複合材構造に対して,その有効性を検証した. 4.32層の擬似等方性CF/エポキシ板供試体による衝撃試験を行なって,損傷起きた場合に,上記の衝撃荷重同定手法の有効性を検証した. 5.衝撃損傷評価において,3次元有限要素の損傷解析モデルを構築し,界面損傷解析ための新たなコヒーシプ要素を提案した. 6.上記の32層の板供試体による衝撃試験結果に基づいて,提案した損傷数値解析モデルの有効性を検証し,その高精度を示した.また,同定した衝撃荷重を用いて,損傷解析モデルを利用し,損傷評価を行って,この損傷モニタリング法の有効性を検証した.
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