研究概要 |
現在,都市ゴミ焼却施設や産業廃棄物焼却施設から排出される排ガスをきれいにするためにバグフィルターといわれる繊維材料で構成されたフィルターが多く使用されている。しかし,長期間の使用により損傷し,有毒な気体が外部へ流れ周辺地域の環境を汚染する問題が発生している.これまでの調査研究では,バグフィルターに使用される布は基布に埋め込まれたフェルト糸がダストにより摩耗していると報告されている.しかし,その摩耗が粉流体のどのような機序によって発生するかが解っていないため有効な対策が立てにくい. 本研究で繊維材料と繊維集合体のエロージョンに注目し,エロージョン特性を把握するために,その実験方法と評価方法を考案し,考案された測定装置を試作した.提案した評価法と試作した測定装置を利用して,繊維材料とその集合体のエロージョンの状態が再現でき,測定したサンプルの損傷率と衝突する前の粉体の運動エネルギーとの関係から繊維材料エロージョンの特性を把握できる. 提案した方法と試作した装置を利用して,繊維エロージョン特性を調べて,そのメカニズムの追求を試みた.繊維材料を実験することによって,繊維によってエロージョンの損傷具合が異なり,全体にProconn繊維はエロージョンに強いである.繊維によりエロージョンタイプも異なり,ポリエステル繊維のような高分子系の延性材料とガラス繊維のような脆性材料のエロージョンのメカニズムが違って,これらを考慮したエロージョンに強い繊維の選べる方法を明らかになった. また,本研究ではバグフィルタ安全性能向上の一つの試みとして,機内のバグフィルタと同じ環境下にさらされるよう一緒に取付けた光ファイバセンサの摩耗寿命を知って,バグフィルタの寿命を予知する計測法を提案した.
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