研究概要 |
高温環境下でのフィルター用材料として期待されている先進材料の多孔質セラミックスについて,その熱衝撃特性を評価するための試験技術の開発を行った.まず,二段構成の燃焼装置を備えた高温ガス発生装置の開発を行い,各段の燃焼を独立に制御することで,排出ガスの急激な温度変化による熱衝撃負荷が可能な試験システムを構築した.次に開発された装置を用いて試料への熱衝撃負荷を行い,その試料の残存強度の測定によって損傷状態を評価するという一連の手法を確立した.さらに,熱衝撃時の温度測定データをもとにFEMによる熱応力解析を行い,熱応力が多孔質セラミックス試料にもたらす損傷の程度について定量的に推定できることを示した. また,熱衝撃試験技術の開発と平行して,多孔質セラミックスの基本的な破壊特性を検討するために,室温での各種破壊試験を実施した.それらの結果をもとに,本材料を材料要素と気孔要素の混合体とする数式モデルを構築した.さらにこれをFEMモデルに当てはめて本材料の破壊挙動の解析を行った.この結果,(1)本材の破壊時に非線形変形挙動として発現する損傷許容性と,その程度がき裂による破壊進行時の開放エネルギの散逸に関連していること,(2)破壊強度におけるばらつきや試験片寸法への依存性が気孔の分布状況によって支配されること,等を解析的に示すことができた.このような材料モデルを熱衝撃試験の解析に適用することでより精密な解析が期待できる.
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