研究概要 |
科学研究費補助金交付期間内(H16年度〜H17年度),本研究課題を着実に進めており,下記に示すように有益な研究成果が得られた. 1.実用サイズ軸材にも適用できる軸拡径変形挙動モデルの提案 独自開発した加工機を用いて軸拡径加工実験を行い,軸径変形挙動を実測して変形挙動の数式モデルを考案した.この数式モデルにより,加工条件,軸径や材質などによる軸径変形挙動が推測できるようになった. 2.軸拡径加工性を向上させる熱処理法の提案 軸肥大加工に適した微細な均質組織を得るために,SC材に対して適正な熱処理を施して強さと靱性のバランスがとれた材質改善により,軸拡径加工に対する健全な加工限界を向上できる加工条件を明らかにした.また,高周波誘導予加熱により,更なる有効な軸拡径加工法を提案した. 3.軸拡径加工実験および強度検証実験の実施 各供試材において,実験用サイズから実用サイズまでの軸材に対して軸拡径加工実験および強度検証実験を行い,適切な加工条件およびこの加工法の有効性ならびに疲労損傷に対する健全性について実験のみならず解析的に確認した.また,軸の軽量化を視野入れ,中空軸材への軸拡径加工法の適用可能性も実験的に明らかにした. 4.本加工法における総合解析手法の開発 有限要素法解析汎用ソフトMSC.Marcのユーザーサブルーチンを活用し,熱一応力連成解析手法を開発した.加工過程におけるシミュレーション解析が実験結果と良く一致していることから,本解析手法の妥当性および有効性が確認された 5.軸拡径加工法に関する基礎データベースの構築 実験および有限要素法シミュレーション解析に基づき,各供試材における軸拡径変形挙動に及ぼす加工条件などの影響および強度信頼性について明らかにし,得られたデータを軸肥大加工における基礎加工データベースとして構築した.
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