研究概要 |
40kHzの超音波振動を切断砥石の半径方向に付加させことにより,硬脆材料の高速切断加工について一連の実験条件下で実験的な検討を行った.そして,超音波振動加工時の加工特性並びにそのメカニズムについて以下の様な事柄が明らかとなった. 1.工具外周部のダイヤモンド砥粒径と最速切断可能速度の関係を実験的に検討した結果,工具表面のダイヤモンド砥粒径60μmの時,1mm厚の板ガラスを最大毎分4mの切断速度で加工できることが明らかとなった. 2.超音波振動切断加工時のチッピングは無振動加工時より減少し,加工面性状も超音波振動加工時の方が向上していることが明らかとなった. 3.工具寿命の挙動を実験的に検討した結果,切断回数を重ねても切断抵抗がほとんど増加しないことから,ドレッシングの回数をかなり減らすことが可能であることを明らかとした. 4.工具に超音波振動を付加させたときの加工部での加工液の挙動を高速度カメラにより観察した結果,工具表面のいろいろな場所で,半径方向にキャビテーションが発生することが明らかとなった.そして,このキャビテーションが工具の目詰まりを防止することが明らかとなった. 5.工具を低速で回転させながら工作物と接触させた結果,超音波振動切断では砥粒が工作物表面で滑ることなく工作物に食い込み,砥粒の引っ掻き効果を生じていることが明らかとなった. 6.超音波振動加工におけるドレッシング効果を検証するために,同じ工具で何回も繰り返し切断実験をした結果,工具表面に付着したに切り屑(目詰まり)を除去することは可能であったが,砥粒の目立て効果は期待できないことが明らかとなった.
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