研究概要 |
本研究では気孔率,気孔の大きさや配置を自在に制御可能な製法で作られた多孔質セラミックスを用い,高剛性かつ高機能の静圧空気ガイドを開発することを目的とした.静圧空気ガイドにおける高剛性化の方法として,ガイド隙間に流入する空気流量を絞り隙間を微小にすることが必要である.多孔質体において空気流量を絞るために,本研究ではNiめっきを用いた表面改質をとりあげ,その有効性を示した.また,機器の小型化に伴い静圧空気ガイドを構成する多孔質セラミックスの寸法および厚さを小さくすることが必要となる.この場合,供給される空気圧により多孔質セラミックスの変形が少なからず生じる.本研究では,静圧空気ガイドの静特性に及ぼす多孔質セラミックスの変形の影響を検討した.得られた結果は以下の通りである.1.本試験に用いた部分多孔質セラミックスはとくに表面に処理を加えない場合においても実用に耐えうる剛性値をほぼ満足していた.また,多孔質体に本来的に存在する気孔率などのばらつきを制御する方法として,また高剛性化への対応の方法として,めっきの有効性が確認できた.2.最大無次元静剛性が得られる最小隙間は,多孔質体のたわみの有無によりほとんど変化しなかった.このため,多孔質体にたわみが生じる場合の代表隙間として最小隙間が適当であった.3.最小隙間で評価したとき,多孔質体のたわみにより最大無次元静剛性および負荷容量は減少した.4.多孔質体の厚みやめっきの有無によらず,最大無次元静剛性の値はみかけの隙間に占めるたわみの割合で整理でき,みかけの隙間に占めるたわみの割合が大きいほど最大無次元静剛性の値は小さかった.5.以上の結果に基づき部分多孔質セラミックスを用いた静圧空気ガイドの設計指針を示した.
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