研究概要 |
○本研究の基礎となるのは各種潤滑油の状態図である.まず低温光弾性試験,高圧密度試験より作成した80℃,1.2GPaまでの状態図を基に次の結果が得られた. 「動的条件下の高圧物性とトラクション特性」 準静的条件下の高圧物性研究では加圧時間1000s程度の下で実験を行っている。EHL条件の加圧時間は0.1msであり瞬間的高圧条件下においても準静的条件下で作成した状態図が適用できるかを検証するために,打撃試験を行った.AE観測,油膜形成状態,反発挙動,打撃圧痕の精密計測等より検討した結果,準静的条件下で作成した状態図が動的高圧条件下でも適用できることを明らかにした.[Lubrication Science].さらにEHL条件下のトラクション係数も準静的条件下で作成した状態図を基に,実験条件をヘルツ接触条件下での粘弾性固体転移温度T_<VE>と油温Tとの差T_<VE>-Tで表示すれば,この条件下の体積弾性係数と密接に関係していることを明らかにした.[STLE Tribology Transactions]. 「高圧固化油の摩耗防止作用」 高圧固化油の摩耗防止作用を明確にするため,多種多様の潤滑油の状態図をまず作成し,それらの潤滑油について4球摩耗試験を行った,その結果,高圧下で固化し易い潤滑油ほど摩耗し難いことを明らかにした.[1^<st> ICMDT, Koreaで発表][Tribology Internationalに投稿中]. ○DACによる150℃,2.5GPaまでの状態図の作成 「ダイヤモンドアンビルセル(DAC)による超高圧流体物性測定装置の開発」 購入したDACにより150℃,2.5GPaまでの状態図の作成が可能となった.DACの使用においては圧力検定が最も困難である.ここでは第1段階としてガスケットの変形量と高圧下での水および直鎖炭化水素の凝固点を利用し,圧力検定曲線を作成した.この圧力検定曲線を用いてDACによるナフテン系鉱油の高圧密度を行った結果,従来のプランジャ型高圧密度試験の結果とほぼ一致した.これにより多種多用な潤滑油の広範囲の温度-圧力条件下での状態図の作成が可能となった.[ASIATRIB2006金沢]で発表予定である.
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