研究概要 |
本研究では高シュミット数物質拡散場の数値予測法として確率密度関数法を取り上げ,そのクロージャモデルの開発を目指す.それには高シュミット数拡散場について速度と濃度の同時情報を含めた詳細な実験データを得ることが必要であり,まず,同時計測システムの開発に取り掛かった.また,乱流噴流場を対象に実験を行い基礎的資料の蓄積を図った.その結果,次の実績が得られた. 1.速度と濃度の同時計測システムの開発 高シュミット数拡散場特有の微細構造をできるだけ低ノイズで捉えることを目指し,高解像度(1024^2ピクセル)で高分解能(12ビット)且つ高感度のCCDカメラを新規に購入した.また,カメラの制御から画像取得までが可能なPIVコントローラーも併せて購入した.現在,速度と濃度の同時計測実現に向けて準備中の段階である. 2.乱流噴流による物質拡散場の実験的調査 一様流と対向する円形噴流によって形成される高シュミット数物質拡散場について噴流断面におけるパッシブスカラ物質の瞬時濃度場計測を行った.そして,対向噴流に特有の現象である噴流の揺らぎを定量的に明らかにし,その成果を国際会議で発表した.さらに,2つの円形噴流による斜め衝突噴流場あるいは自由境界と固体境界という境界条件が異なる2種類の境界壁の拘束を受ける二次元オフセット噴流場に関して,PIV法を利用して実験的に調べ研究発表を行った. 3.PDF法における分子混合モデルの開発 分子混合モデルを開発するための基礎的資料を得るために,実験で得られた濃度情報を基に濃度2点空間相関を調べた.また,DNS計算手法により乱れの素過程が乱流中での二粒子拡散に及ぼす影響を定量的に調べた.現段階では具体的なモデルは実現できていないが,これらの結果,そして,速度・濃度同時計測結果を基に,濃度PDF方程式との関係を調べモデルの実現を目指していく.
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