研究概要 |
本研究では,二相系格子ボルツマン法を用いて大きな密度比(1000程度)の界面ダイナミクス解析に適用可能な方法を開発した.次に,上述の格子ボルツマン法の短所を解決する新しい方法である格子運動論スキーム(Lattice Kinetic Scheme)を用いた界面ダイナミクス解析法へ発展させた.さらに,並列計算機を用いて計算の高速化を計り,液滴流や気泡流の大規模算を行い本手の実用問題への適用可能性を検証した.得られた研究成果は次の通りである. 1.二相系格子ボルツマン法を用いて,密度比の大きな界面ダイナミクス解析法を開発した. 2.開発コードを用いて,基本問題(液滴同士の衝突,上昇気泡流)を計算し,解析手法の妥当性を検証した.具体的な検証内容は,次の通りである. (a)界面の厚さが計算結果に与える影響の検証 (b)移動度の影響の検証 (c)実用計算に必要なメッシュ数の検証 3.上で開発した計算コードをPCクラスター並列計算機に移植した. (a)鉛直方向に長い(ダクト幅の12倍)ダクト内の上昇気泡流の計算が可能となった. (b)複雑な内部形状をした気泡塔内の二相流計算ができるようになった. (c)直径比の異なる液滴同士の衝突計算ができるようになった. 4.上で開発した二相系格子ボルツマン法を格子運動論スキームに発展させた. (a)速度分布関数を用いた定式化において,衝突緩和時間を1にすることにより,巨視的変数のみからなる時間発展方程式(格子運動論スキーム)を導出した. (b)上で導出した時間発展方程式をプログラム化した. (c)開発した格子運動論スキームの解析コードを並列計算機に移植した. 5.実用問題(液滴衝突,気泡流,キャピラリー流など)に適用し,既存の実験結果と比較して計算精度の検証を行った.また,計算時間(並列化効率)も検証した.
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