研究概要 |
本研究は,各種工業で使用されるラバルノズルからの超音速噴流騒音の低減化と高効率ノズルの開発を目的として実験的を行った.使用したラバルノズルは,設計マッハ数2.0,ノズルスロート直径20mm,ノズル出口直径26mmである.実験条件は,ノズル上流のよどみ圧力と背圧(大気圧)の比が,2.0から18.0で,この圧力範囲の噴流は,過膨張噴流から不足膨張噴流の状態である.ノズルは,大きさが約5m×5m×5mの無響室内に設置され,1/4inコンデンサーマイクロフォンによる音響測定が行われた.また,超音速噴流の流れの構造に及ぼす噴流騒音低減装置の影響を定性的に調べるために,シュリーレン法による可視化が行われた.さらに,超音速噴流の流れ方向の運動量の減衰の度合いを調べるために,噴流中心軸上のピトー圧測定が行われた.以上の実験から以下の結論が得られた. スクリーチトーンに及ぼすノズルリップ厚さの影響が調べられ,以下のことが明らかになった.ノズル出口直径の1倍より小さなノズルリップ厚さの場合,過膨張噴流に対するスクリーチトーン大きさは,ノズルリップ厚さの増加に伴い増加する.またこのとき噴流の振動モードは,ノズルリップ厚さの増加に伴い軸対称からスパイラルあるいはフラッピングモードとなる.ノズルリップ厚さがノズル出口直径の2倍を超える場合,スクリーチトーンの大きさは,ノズルリップ厚さの増加に伴い減少する. 超音速噴流騒音の低減化に対する二つの騒音低減方法が提案された.一つは,直径数mmのワイヤーを2本互いにクロスさせたクロスワイヤーと呼ぶ方法で,この装置がノズル出口近くに設置された.その結果,クロスワイヤーがノズル出口近くに設置されると,クロスワイヤーは,噴流構造を著しく変化させ,超音速噴流の低減化に有効であることがわかった.二つ目は,メッシュスクリーンによる方法で,これは,網状の格子によって作られ,ノズル出口面に取り付けられた.メッシュスクリーンは,噴流内の衝撃波の強さを弱くし,噴流騒音の低減化に有効であることがわかった.
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