研究概要 |
定圧駆動による水中の高速水噴流(吐出圧力50-200【MPa】,ノズル径0.155[mm])と衝撃圧駆動による大気中の高速水噴流(流速約500[m/s],ノズル径2[mm])について,流動特性と破壊加工作用に関する実験と数値解析を行い,加工に効果的なノズル形状について考察した.主な結果を要約すると以下のように述べられる. (1)密度と音速の大きく異なる気液界面や不連続変化を含む高速水噴流の数値解析にはCIP法が有効である. (2)水中の高速水噴流で加工を行う場合,ノズル出口からのスタンドオフ距離は物体の穴あけ,掘削,切断などにはノズル出口直後にとるのがよく,洗浄,表面改質などには吐出圧に応じて一定の距離をとった方が良い.これは前者が主に噴流の運動量の作用によるもので,後者がキャビテーションの作用によるためである.どちらの場合にもノズルキャップの出口平行部は短いほどよく,内径も小さい方が良い. (3)大気中の単発型超音速水噴流は空気の抵抗,噴流同士の衝突により噴流途中にこぶ状あるいは傘状の噴流が形成される.そのような流動特性は物体への衝突圧力に影響をおよぼす.そのためテーパノズルの形状,初期水量の設定位置,物体のスタンドオフ距離などのパラメータの影響を検討する必要がある.本研究によりその手掛かりが得られた. 以上の結論は主としてマクロな流動に関するものである。今後はメゾスケールあるいはミクロな現象を解明し,議論を精密化する必要がある.そのためには,キャビテーションと液滴の微粒化の計算モデル,3次元解析,乱流モデルの導入が避けて通れない課題である.
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