研究概要 |
付着形キャビテーションは,ある条件下で周期性を示しキャビテーションクラウドの放出・崩壊そして高衝撃が発生する.この機構の理解は,基礎工学的にも,キャビテーション衝撃の積極的利用あるいは制御という産業応用の観点からも非常に有用である. これらの周期性はキャビテーション流れに特有な自励現象と考えられるが,その構造は必ずしも明らかではない.当該研究者により,リエントラント運動が付着キャビティ先端に達した時,主流中にジェット状の突出流れがあり,それを契機として渦キャビティ形成,合体,キャビテーションクラウド放出と言う一連の過程が生じることが示されている. 本研究においては,キャビテーションクラウド崩壊時に生じる大きな圧力波の発生に着目をしている.まず,円柱から放出されるカルマン渦状キャビティ崩壊時の圧力波発生そして,周囲気泡群への連鎖的伝播を示した.ついで,キャビテーティング・ウォータジェットにおいて周期的に放出されるキャビティの合体機構そして圧力波の存在と機構を調べた.また,急激な気泡崩壊・形状変化を定量的に捉えるための画像処理法を開発した.これより圧力波の定量的把握を可能にした.この手法をもとにキャビテーションクラウド崩壊時の圧力波によりリエントラント運動が誘起され得ることを示した. 以上より,クラウド状キャビテーション流れにおける自励構造として次の機構の存在を指摘した;(1)付着キャビテーションからのクラウド放出,(2)放出キャビテーションクラウドの崩壊と圧力波発生,(3)付着キャビティ後端への圧力波伝播,(4)付着キャビティ内気泡群の連鎖的崩壊とリエントラント運動の誘起,(5)リエントラント運動の付着キャビティ先端への到達,(6)付着キャビティ先端での主流への巻き上がり,(7)渦キャビティの形成と下流への移動,(8)渦キャビティの成長そしてキャビテーションクラウドの形成,の諸過程である.
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