研究概要 |
直接数値シミュレーション手法を有限差分法とともに用いて、平面上突起対、千鳥配列突起群、後向きステップ、急拡大流路まわりに発生する三次元非常剥離流れと熱伝達を明らかにした。 1.平面上突起対 本解析は馬蹄形渦や再循環剥離流れ等可視化結果を良く再現することが明らかになった。また、局所および均熱伝達特性が明らかにされ、それらの流れ場との関連を考察した。 2.千鳥配列突起群 第一列と第二列突起まわりの流れは単一突起の場合と同様であり、馬蹄形渦が形成されるが、第三列突起まわりの馬蹄形渦はレイノルズ数が500で始めて形成される。温度場は流れ場の影響を大きく受け、第一,第二列まわりと第三列まわりでは著しく異なる。平均ヌセルト数がレイノルズ数の関数として求められている。 3.二次元後向きステップ 全ての傾斜角αにおいて、流れはレイノルズ数が500以下では定常、700以上では非定常となる。αが30°から75°の範囲で、再付着長さや最大ヌセルト数の変化は小さい。 4.急拡大矩形流路 アスペクト比ARの減少とともに、対称流れは高いレイノルズ数まで存在する。最大ヌセルト数はARとReの増加とともに側壁近傍に存在する。Reの増加とともに流れと局所ヌセルト数の三次元性は増大する。 5.急拡大流路 Re=200では流れはy,z軸に関して対称、Re=300では定常ではあるがy軸に関して非対称になる、最大ヌセト数は流路中央から離れた位置に存在し、Re≧400で流れは非定常となる。Reが1000まで増加すると、縦渦が形成され、およそx/H=30の上流で側壁近傍から下流に放出される。 6.後向きステップ 三次元剥離流れと熱伝達特性を3種類の後向きステップについて、特にそれらに及ぼす拡大比の影響を解明している。ER=1.5,2.0,3.0ではRe=700,600,500でそれぞれ非定常になる。ER=2.0の時間平均再付着長さと流れ方向速度分布は定常のみならず非定常流れでも実験値ときわめて良く一致する。縦渦が側壁近傍に形成され、大小さまざまな渦塊はERの減少とともに大きくなり、アスペクト比が36.0と大きい場合でも流れの三次元性は厳しく、非定常流れでは三次元性が著しくなり、その熱伝達特性への影響は大きくなる。
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