研究概要 |
(1)平成16年度は,高機能氷スラリー生成するための新たな蓄熱材の開発を行なった.水-油混合液に加える添加剤としては,疎水性のアミノ変性油を使用した.その結果,2種類のエマルション(O/W又はW/O)が生成可能であった.油はシリコン油,軽油及び灯油を使用した.また,水と油の組成比は9:1,8:2及び7:3とした.蓄熱材としての性能を検討した結果,W/O型エマルションが潜熱蓄熱材として適応が可能であった.また,W/O型エマルションから氷スラリーを生成する場合,W/O型エマルションは水が油中に分散しているため,水が冷却壁面と直接接触し難いという特徴により,容器材質に影響されずに,壁面氷結を防止する効果があり,ステンレスの様な金属製の容器でも,良好な製氷が可能であった.そして,最も良好な製氷が可能なのは,シリコン油(7:3),軽油(7:3)及び灯油(9:1)であることを明らかにした. (2)平成17年度は,W/O型エマルション(油はシリコン油)の過冷却解消過程の特異性について検討した.そこで,過冷却解消の実験を行った.過冷解消方法については,0.1mlの水を凍らせた氷核を棒に固定し,氷核を容器の中心から45mm,深さ40mmの位置に設置し,過冷却の解消が開始したらそれを引き抜いた.氷核投入から過冷解消開始までと解消開始から終了までの,2つの時間について確率的に検討することで,解消過程の機構を検討した.実験は各組成で30回程度行った.その結果,組成比8:2は平均約13分,7:3は平均約7分の時間が氷核投入から解消開始まで要した.しかし,9:1では,平均約26分もの時間を要した.また,解消開始から終了までは,8:2が平均約31分,7:3が平均約18分の時間を要した.しかし,9:1では,壁面氷結により実験を中止した.即ち,エマルションの粘性が高いほど,時間を要していることが分かった.
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