研究概要 |
本研究の磁気ダンパは,導体板の運動方向と直角方向の外部磁界が存在すると運動方向と逆向きにローレンツ力が発生する原理に基づいている.本研究により,新しいローレンツ力にもとづいた磁気ダンパの磁気ダンピング力についての原理が正しいことが確認できた.この原理は,磁石および導体の相対運動方向と逆向きに磁気力が発生すること,磁石および導体の相対運動の速度とその速度に直角方向の磁束密度により磁気ダンピング力が決定されること,を示している.この原理を適用し,中空円柱磁石と円筒導体板を組み合わせた磁気ダンパ実験装置と,ボール型磁石と銅製の半球殻および銅製の円筒を結合した導体(以後,銅殻と呼ぶ)を組み合わせた磁気ダンパ実験装置を製作し,減衰特性を評価した.その結果,両実験装置とも磁気ダンパになることを確認した.また,微小ループコイルを使うモデル化手法を使って,導体板をモデル化し磁気ダンピング力を求めた.この方法はこれまでの研究と比較して,優れた点がある.すなわち,磁石の形状,導体の形状が異なっていても,同じ簡単な式で磁気ダンピング力が表現される.そして,その式の中では,静磁界の磁束密度を使うため,有限要素法静磁界解析や,ビオ・サバールの法則,実測から得られた磁束密度を使うことができる.また,この手法は,導体板の形状による境界条件を自動的に満足する.この手法を用い,両磁気ダンパをモデル化した.試作した磁気ダンパの磁気ダンピング力を求め,減衰比を計算したところ,実験で求めた減衰比と良く一致した.この結果は,2006 ASME IMECEおよび,12th APVCにて発表した.また,特許も申請中である.本研究により,新しいローレンツ力にもとづいた磁気ダンパのモデルの妥当性が確認できたので,今後従来とは違う形の新しい磁気ダンパの開発が期待できる.
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