研究概要 |
わが国において,廃プラスチックが再生利用(マテリアルリサイクル)される割合はわずかに14%であり,これを高めることは環境保全や埋め立て地の延命化といった観点から重要な社会的課題となっている.プラスチックのリサイクルが進まない大きな原因の一つに選別の難しさがある.なかでも,非鉄金属とプラスチックからなる粉粒体の選別については現在においても効果的な選別手法が見出されていない。例えば,プリント配線基板から銅とプラスチックをリサイクルするためには,しっかりと接合した銅とプラスチックを引き離すために,破砕し,微粉化する必要がある.微粉化された非鉄金属とプラスチックからなる混合物を選別する場合,比重差を利用した湿式の比重選別を用いるのが一般的である.しかしながら,リサイクルに必要とされる十分な選別精度が得られないことや廃液処理や乾燥設備が必要となるという欠点も有している.そこで,本研究ではコロナ帯電や摩擦帯電を利用した新たな乾式の振動選別法を提案し,選別装置の開発とその妥当性の検討を行った.初年度においては,コロナ帯電装置と振動選別装置を製作し,廃電線の粉砕片である銅とポリ塩化ビニル(PVC)からなる混合物を用いて,選別実験を行った,実験は,湿度及び温度を一定とした環境下で行い,コロナ電圧や振幅,振動数などの操作条件が選別精度に与える影響を検討した.その結果,摩擦帯電やコロナ帯電を併用した振動選別手法によって高い選別精度がえられることが確認された.次に,研究2年目においては,銅粉とPVC粉からなる混合物を用いて,選別実験を行った.選別の結果は回収された粉体を顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて解析した.実験は,湿度及び温度を一定とした環境下で行い,コロナ電圧や電界強度,振動数などの操作条件が選別精度に与える影響を検討した.
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