研究概要 |
本研究は関西大学にて主観評価を基盤とした研究を行い,芝浦工業大学では物理特性の検討を分担する形式ですすめている.関西大学では主にヘッドホンの設計目標周波数特性の解明と小型音響機器設計支援システムの構築について,芝浦工業大学では主にヘッドホンの物理特性の解明とその測定法の確立について研究を行った.まず,ヘッドホンの設計目標周波数特性の探求においては頭部伝達関数(HRTF)が設計規範として最も有効であることが数々の主観評価実験の結果より明らかになった.この結果は先行研究において物理特性の観点から検討されていた結果と一致していることから,ヘッドホンの設計において非常に有効な結果であるといえる.今後はこの設計規範に従ったヘッドホンを試作し,その有効性を広範にわたって検証するとともに音楽ソースとの関連性についても検証する予定である.また,小型音響機器設計視線システムの構築においてはこれまで明らかでなかった音孔の位置関係と音響等価回路上の音響パラメートとの関係を有限要素法による解析から明らかにすることができ,またその結果を忠実に再現する音響理論式の導出に成功した.今後は導出された理論式を設計支援システムに反映させることでより正確な設計支援が行えるシステムに改善する予定である.さらにヘッドホンの物理特性の解明ならびに測定法の確立においては,音響漏洩と周波数特性の関係をヘッドホンへの垂直圧を返ることで明らかにすることができた.また,イントラコンカ型ヘッドホンのより正しい測定法への足がかりを得ることができた.今後は他の種類のヘッドホンについても同様の検討を行うとともに,音響等価回路による解析などを通じて物理的現象をより明確にしていく所存である. 以上のように本研究課題を通じて予想以上の成果を得ることができた.これらの成果は以下の既発表の論文のみならず音響系の専門誌の現在論文投稿も行っていることを申し添える.
|