研究概要 |
本研究では,過負荷にも柔軟で,防爆性に富み,安全である,清潔である,などの優れた特徴を持つ空気圧技術を水産物の加工装置に積極的に利用するために,人間の把持動作を調べ,その結果を空気圧サーボによるフィンガの力制御に適用した. 実験では、人間の把持力を同時に測定できる把持力分布測定システムのグローブスキャンを購入,使用した.グローブスキャンとともにサーボ弁の圧力も同時にモニターできるようにVisual C++を言語としてAD変換ボード制御プログラムを作成し、センサの感度解析を行い,さらにこれを用いて実際に物体を把持した時の各指に加わる把持力について考察した.その結果、人間が物体を把持する時,最も力が加わる指は親指であること、機械的な指を制御し硬い物体を挟むようにして把持を行う時,フィンガの数は,3本で十分機能を果たせることを明らかにした.これらの結果を元に、既に製作した3指を平行移動させて物体を把持するハンドの構造を改良し,指先で力制御ができるように3指の機構設計変更,製作,実験をした.人差し指と中指は最大60度曲げて物体を把持できるようにし,これらの指と対向する親指は平行移動する機構にした. これらの改良によって,空気の圧縮性を生かした3指による空気フィンガの駆動が可能になったが,把持する物体の大きさによっては,3指で物体を抱え込むような状態となり,手のひらに相当する機構を設ける必要があることも分かった. このような課題は残るものの,本研究により,空気圧制御でも人間の把持動作に近い指の動作と力制御が可能であることを明らかにすることができた.
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