研究概要 |
正負の電極間に高電圧を与えると,電極間に強い流体流れ(ジェット流)を発生するという現象を有する電界共役流体(ECF)を利用した機能性リニアアクチュエータを提案するとともに,PLZTセラミックスの有する光起電力効果を利用した光駆動手法の確立を図ることによって,無索で高い耐電磁ノイズ性を有する光駆動型リニアアクチュエータを構築することを目的としている.はじめにコイル構造型電極とメッシュ構造電極から構成される2種類のECFリニアアクチュエータを提案・試作し,両アクチュエータの基本特性を実験的に明らかにした.つぎに,PLZTセラミックスを用いた光電源によりECFアクチュエータ駆動を行う基礎段階として,光電源を利用してECF内に設置された電極間にジェット流を発生させ,その圧力・流量特性を求めるとともに,PLZTセラミックスの最適構造を検討した. 得られた成果を要約すると以下のとおりである. 1.提案したコイル型アクチュエータおよびメッシュ型アクチュエータはほぼ良好な特性を有し,さらに特性向上を図ることによって,機能性アクチュエータとして利用可能であることを示した. 2.コイル型アクチュエータおよびメッシュ型アクチュエータの負荷力・ピストン駆動速度特性は,一般に良く知られているDCモータのトルク・速度特性とほぼ同様な傾向を示す. 3.コイル型アクチュエータおよびメッシュ型アクチュエータの最大効率は,それぞれ1.2%(供給電力:400mW)および1.7%(供給電力:90mW)程度であった 4.PLZT素子を用いた光電源により,電界共役流体を用いたアクチュエータを駆動可能であることを示した. 5.タングステンを添加し,空気雰囲気中で焼成したPLZT素子のパワー密度が最も高い値を示すことがわかった. 6.PLZT素子を用いた光電源の設計資料を取りまとめた. 本研究により,ECFリニアアクチュエータ構成法およ光駆動法の研究課題が明確になったので,今後これらの解決を図り,実用化研究を推進したい.
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