研究概要 |
本研究は,ロボットの指の関節に搭載可能な円環型超音波モータの開発をめざし,単一の高周波電圧のみとする単相電源駆動方式により超音波モータの振動および駆動特性を実験的に調べた.従来では超音波モータを単相電源のみで駆動すると,定在波のみが生じて進行波は生じないとされてきたが,ステータの外側と内側の4分割電極をπ/4ずらすと回転力が生じることを実験的に確かめた.ここでは円環型超音波モータの振動解析から駆動方式の最適化を狙い,ロボットハンドへの有効性とダイレクト駆動時の物体把持における制御法を調べることを目的とし,実験の結果以下のことを明らかにした. (1)電極間の隙間を1mmとして製作した円環形超音波モータの内側および外側電極のみに交流電圧を印加すると共振周波数が異なる.その結果,その中間の周波数で駆動すると,内側および外側電極に印加する電圧に位相差が生じ,これが単層駆動による超音波モータの駆動力となる理論モデルを立てることができた. (2)バイポーラ電源による位相の異なる交流電圧を与えて2相駆動としたが,超音波モータの内側および外側電極に印加される交流電圧の位相差は無くなり,モータのトルク性能は向上しないことが確認された. (3)超音波モータ2個を1関節にもつロボットフィンガーを試作し,シングルステイブル形リレー回路によりコンピュータ制御で関節の回転方向と速度をコントロールできることが確認された.
|