研究概要 |
実在するAUVをターゲットとして,本給電方式を適用した際に必要となるコイル形状の設計を行った.決定した縒り線太さで,基本となる積層コイルの自己インダクタンスの予測をし,結合係数の予測および磁性体装着時における自己インダクタンスの増加分を評価した.今回提案した電力伝送用コイルに関する設計フローを適用する事で,所望とする電圧・電流値に設定した電力伝送コイルを製作することが可能であることが確認できた.これらAUV向けコイルの設計方法をふまえ,様々なAUVに対して本給電方式を適用させる際に必要な共通のコイル設計方法に関して提案を行った.具体的には設計上コイルサイズを拡大・縮小させたときには,数値的には同じギャップ長でも,実質的な相対的なギャップは異なる.そのことを加味するため,ギャップ長をコイルの内径で除算した規格化ギャップというパラメータを導入し,結合係数の変化や磁性体装着時における自己インダクタンス増加分の評価を行い,設計へのフィードバックとする事ができた.続いて,電力供給システムの小型スケールモデルとして,実際に海中,もしくは水中での検証を念頭におき,防水構造を持ったシステムを構築した.給電ステーションにおける実験では,各送電コイル励磁切り替えの確認ができ,ロボットのステーションへの近接,そして充電後に離脱して蓄電池での駆動まで,一連の給電動作の確認が行えた.ロボット内蔵受電側コンバータ部分では,内蔵電池充電に至るまでの給電ステーション探知から分離動作までを自動的に進行する事が確認でき,電気回路的,機構的な検証が行えた.上記基本構成における全ての動作確認が終了したので,海水を模擬した環境で前述の動作確認を行った.海水塩分濃度を模擬した環境では,模擬ロボットの動作,ならびに給電動作その他は遜色なく動作し,模擬海水中での10W実負荷試験を確認する事ができ海中エネルギーネットワークの実現性について確認する事ができた.
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