研究概要 |
本研究で得られた主な成果は以下のとおりである。 1.大規模なFGM創製に実績のある遠心分離法を採用し,アルミナ粒子を充填したエポキシ樹脂を用いて数cmサイズの円柱状ε-FGM試料の創製を行った。 2.不定形アルミナ粒子よりも球形アルミナ粒子を充填材として使用することにより,最大充填率の向上と,それに伴う誘電率の変化範囲の拡大を確認した。 3.遠心時間・回転速度,アルミナ粒子条件,材料の混合比,脱泡条件などを変えながら様々な創製条件でε-FGM試料の創製を行い,創製条件と誘電率分布の関係を明らかにした。 4.様々な充填率で均質に充填されたペレット状材料の熱拡散率をレーザフラッシュ法による実測で求めた。この熱拡散率を元に熱伝導率とアルミナ充填率の関係を実験的に検証した。これらのデータを下に,様々な傾斜具合のアルミナ傾斜エポキシ樹脂の熱抵抗を数値的に計算し,傾斜具合と熱抵抗との関係を定量的に示した。 5.全固体変電所の高電圧接続器などでは,その接続部に固体/固体界面が表れ,電気絶縁上の弱点となる可能性が高い。FGM試料でモデル化した固体/固体界面を模擬し,傾斜の有無や傾斜具体と界面の雷インパルス絶縁特性を測定し,それらの間の関係を検討した。その結果,FGMを採用することにより,絶縁特性は向上するが,界面の凹凸の影響がかなり大きいことを示した。 6.任意の傾斜を持つFGM創製方法の開発を援用するために,遠心分離過程をシミュレートして,事前に充填率分布を予測できるシミュレーションコードの開発を行った。本シミュレーションプログラムでは,充填材粒径の累積頻度分布を忠実に再現したこと,粘性力の充填率依存性を組み入れたことなどの改良で,数値的に求めた充填率分布は,実験的に創製したFGMの充填率分布を精度良くし再現できることを示した。
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