研究概要 |
平成16年度〜平成17年度にかけて行った『ビジュアル情報を利用したエンコーダレス誘導電動機駆動装置の開発』で得られた主な成果並びに知見を以下に示す。 1.システム設計 二次磁束オブザーバに基づくエンコーダレスベクトル制御の速度推定値とビジュアル信号を処理して得られる情報を組み合わせたハイブリッド方式のベクトル制御法を考案した。ビジュアル情報は、特に速度センサレスベクトル制御で問題となる電動機二次時定数の同定、定常速度演算等に利用した。誘導電動機、ベクトル制御系、速度制御系、電流制御系を含めたシステム全体の安定解析及びシミュレーション解析を行い,制御系の設計を行った。 2.実験装置の製作 インバータ、DSPボード、CCDカメラ,画像処理ボード,誘導電動機、直流発電機、電球負荷等を組み合わせて、制御システムの試作を行った。また,エンコーダレスベクトル制御,ビジュアルセンサによる速度演算,パラメータ同定などのソフトウェアを開発した。 3.実験による性能評価 製作した装置で、速度制御、負荷特性の実験を行い、シミュレーション結果と実験結果を比較した。これらの結果は良く一致しており,ビジュアル情報を利用した誘導機の二次抵抗同定法が実現され,トルク及び速度の制御精度を改善できた。また,励磁電流を効率が最大となるように制御する省エネルギー制御方式を導出し,特に軽負荷運転時の効率を大きく改善することができた。なお,ビジュアルセンサのみでは過渡状態の速度は得られず,q軸磁束による速度推定と組み合わせが必要不可欠である。
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