研究概要 |
従来,沿面放電は,電力設備では,絶縁破壊に至らしめる厄介者として,その発生と進展を抑制することを目的に,発生・進展メカニズムに関する研究がなされてきた。まったく逆の視点の沿面放電の積極的な応用に関する研究は,最近まであまり行われていなかった。そのため,この沿面放電の工学的応用としては,オゾナイザや環境汚染物質処理等限られたものしかない。本研究では,沿面放電の制御技術を確立し,照明やディスプレーなどの面発光デバイスへの応用を目指し,応用可能な輝度を有する均一な面状沿面放電を安定に発生させることを目標として,下記の検討を行った。 電気的計測および光学的計測を通じて,実験的に固体誘電体沿面における荷電粒子の振る舞い,固体誘電体との相互作用の実像に迫ることによって,面状沿面放電の発生・進展メカニズムと背後電極の影響および放電発光メカニズムの解明を進めた。 すなわち,面状沿面放電に対して,主に下記の視点で検討を行った。 (1)沿面放電における放電電流等電気的手法による荷電粒子の振る舞い (2)沿面放電における発光スペクトル測定と放電発光過程 面状沿面放電の輝度を向上させる方策について検討を行うには,まず本研究で採用した電極系においてネオンガス中での放電発光の評価が重要と考えられ,正確な発光スペクトルと発光強度の計測を行った。ネオンガス中でより強い発光が得られる面状沿面放電発生条件について検討を行った。また,ネオンとは異なるガス中においても検討を行い,面状沿面放電の発生と発光に及ぼす影響が大きいと考えらる荷電粒子との相関についても調べた。また,沿面放電による蛍光体励起を用いた白色発光デバイスの試作し,発光動作を確認した。
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