研究概要 |
研究初年度(平成16年度)は,「研究計画調書」に基づいて,回転マグネットで内部励磁する風力・マイクロ水力用の新型誘導発電機("PM誘導発電機"と呼称)について,ダンパ(機能)付きモデル2号機を設計・製作し,その通電試験を実施した。その結果,モデル2号機は,平成14年度〜15年度の科学研究費で試作したモデル1号機と異なった動作特性を有することが判明した。そこで,平成17年度は,研究計画を若干変更し,モデル1号機と2号機を比較しながら,モデル2号機の動作特性を詳細に解析し,ダンパ機能追加の良否を考察した。得られた知見は以下のとおりである。 1.連系運転:回転マグネット("PMロータ"と呼称)にダンパ機能を付加すると,PMロータがフリーロータとはならず,エネルギー変換に直接寄与することが分かった。このことは,試作したモデル2号機の動作が変換器の必要な同期発電機と類似になることを意味している。したがって,系統(配電線)と連系する場合は,PMロータにタンパ機能を付けない方が良い。 2.単独運転:モデル2号機は同期発電機と類似の動作となるため,:負荷変化に伴う周波数変動は生じない。したがって,モデル2号機は,むしろ単独運転に適している。 以上のように,PMロータにダンパ機能を付加すると誘導発電機として動作せず,所望の動作は得られない。結果的に,連系を主体とする用途では,ダンパ機能を持たないモデル1号機が適しているとの結論を得た。本研究では,上記の解析結果を踏まえ,引き続きモデル1号機を用いて種々の発電モードに対する性能評価を実施した。特に,実運転状態を想定して電圧不平衡下や単相負荷給電時の電気および磁気特性を解析し,ステータに発生する逆相分回転磁界がPMロータに対して減磁界にはならないことなど,設計・運転面に対していくつかの有用な指針を得た。
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