研究概要 |
平成16,17年度においてスパッタ法でIn_2O_3-ZnO系とSnO_2-ZnO系での透明導電膜について膜作製をおこない,Al_2O_3やGa_2O_3を不純物として添加し、それらの電気的、光学的特性やアニーリング特性について調べた。ターゲットにZnO(またはSnO_2)とIn_2O_3のセラミックターゲットを時に対向ターゲット式スパッタ法で、Arガス中でスパッタした。ターゲットに流す電流を0〜80mの範囲で変化させ、その時の電流比δをδ=I_<zn>/(I_<zn>+I_<In>)と定義した。まず、In_2O_3-ZnO系についてδ値とZnとIn/(Zn+In)組成比はほぼ一致している。膜構造はδ=0〜0.2でIn_2O_3結晶構造、δ=0.2〜0.6でアモルファス構造、δ=0.6〜0.8でホモロガス結晶構造、δ=0.8〜1.0でZnO構造を示す。Ga_2O_3の影響はAl_2O_3と同様なものであり,Ga_2O_3の添加量が増えるとIn_2O_3が現れるδ値が0.2より増大し,ホモロガス結晶相出現もδ=0.62から0.67へと増大する。電気的特性はGa_2O_3が7.5wt%添加でアモルファス相膜の抵抗率が2.68x10^<-4>Ωcmと,Al_2O_3添加の膜の最小抵抗にくらべて少々高いものの,やはり低抵抗率のアモルファス膜が得られる。ターゲット中のGa_2O_3の量を,4.5,6,7.5wt%と変化したとき抵抗率への影響はあまりなく,キャリア密度の増大や,移動度の低下も見られなかった。このことはアモルファス中ではGaが通常のドナーや散乱中心として働いていないことを示す。この傾向もAl_2O_3の添加と同様であった。δ=0.27wt%でのGa_2O_3依存性はGaの添加とともに吸収端の波長が短波長側にシフトする傾向を示した。透過率はGa_2O_3量とともにわずかに減少傾向である。アモルファス領域でのGaは電気的にはあまり悪影響を及ぼさず,格子中に歪みを誘起するこで光学的バンドギャップの増大傾向を引き起こすことが確認された。いずれの膜も表面平坦で,低抵抗アモルファス透明電極として有望であることがわかった。
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