研究概要 |
InP基板上BeZnSeTeの発光特性のBe組成依存性を調べ,緑色域において良好な発光特性を有することを示した。次に,BeZnSeTe活性層にキャリア及び光を閉じ込めるバリア層としてMgSe/BeZnSeTe超格子を提案し,超格子界面におけるZn照射等成長条件の最適化を行った。これらの成果を基に発光素子の試作を行った。素子はBeZnSeTe量子井戸活性層をMgSe/BeZRSeTe超格子バリア層で挟み,nクラッド層にMgSe/ZnCdSe超格子,pクラッド層にMgSe/BeZnTe超格子を用いた構造とした。また,nクラッド層とn側バリア層とのタイプII接合によるヘテロ障壁を緩和するためにMgSe/ZnCdSe超格子グレーデッド層を導入した。グレーデッド層はバリア層に近づくに従いMgSe層厚比を40%から67%に増加させる構造とした。作製した素子に電流を注入したところ,波長530nm近傍の緑色発光が観測された。さらに,直流電流を印加しながら素子の寿命特性を調べたところ4800時間以上経過しても殆ど劣化のない長寿命動作が得られた。 一方,新たなpクラッド層材料の開拓を行った。従来p型ドーピングが困難であったZnCdSeやMgSe/ZnCdSe超格子に高濃度のp型ZnTe又はZnSeTe薄膜層を挿入する新たなドーピング手法を提案し,実際にp型化に有効であることを示した。具体的には,ZnCdSeでは従来3xl0^<I6>cm^<-3>程度であったp濃度が8x10^<17>cm^<-3>まで大幅に改善された。また,MgSe/ZnCdSe超格子に応用した場合,2.33eVの広い禁制帯幅においても4.6xl0^<17>cm^<-3>の高いp濃度が得られた。この技術をpクラッド層に用いて発光素子を作製したところ中心波長600nmの橙色発光が得られた。
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