研究概要 |
研究目的は,体内に飲み込んだ体積約1ccのカプセルに組み込まれたCCDカメラ内蔵無線機から送信される画像データを体外で受信するシステムに適用するアレーアンテナを研究開発することであった.カプセルを小型化し,また鮮明な画像データを受信するためにアレーアンテナをいかに高性能かつ小形に実現するかが重要である.このためには,体内のカプセルから発射される微弱な電波を,筋肉や骨等の複雑な媒質の影響を受けながらいかに効率よく受信し,人に負担の少ないアンテナ構造を実現するかが技術的な目的である.特にアンテナ構造配置とこれから最大限の受信電力を引き出すアンテナ制御法(重み付け)を見出すかが課題である. まず,素子間相互結合を考慮した任意素子配列受信アレーシステムの定式化を行った.次に,受信電力最大受信アレーと指向性利得最大送信アレーの指向性の比較を行った.受信電力最大化の指向性に関しては,MMSE基準に基づき算出した.両者の比較検討により,アダプティプアレーアンテナを構成する上で必要なシステム構成を見出すことができた. さらに干渉やマルチパス波の抑圧に有効なタップ付遅延線型アダプティプアレーアンテナ(Tapped Delay Line Adaptive Array Antenna : TDL-AAA)において,ユーザーや最大遅延シンボル数が与えられた場合に,所要アンテナ素子数や所要タップ段数を決める設計手法を提案した.
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