研究概要 |
CDMA移動体通信において,同期捕捉は通信の開始に先立って必要とされる最も基本的な機能である.しかし,この同期捕捉は通信のオーバーヘッドになるため,その高速化が重要な課題となる.本研究の目的は,m-系列,GMW系列を含む広範な擬似ランダム系列に対して,系列に内在する構造を利用した同期捕捉方式を提案し,従来方式に比べて高速な同期捕捉が実現できることを示すことにある. 平成16年度の研究では,「チップ同期のとれた」理想的システムに関して示した新しい高速同期捕捉の基本方式を元に,これを「チップ同期の仮定を必要としない」実際のシステムに適用可能な高速PN系列同期捕捉法に拡張し,その性能について基本的な調査を行なった.その結果,平均同期捕捉時間ならびにその分散に着目して同期捕捉システムの性能評価を理論解析し,従来システムに比べて十分良好な性能が得られることを明らかにした 平成17年度の研究では,前年度の研究で提案した「チップ同期の仮定を必要としない」実際のシステムに適用可能な新しい高速PN系列同期捕捉法に関して,タイムオーバ機構を取り入れた方式も含めて平均同期捕捉時間ならびにその分散,所用演算量等について,理論ならびに実際の使用環境を想定したシミュレーションを通して提案システムの性能評価を行ない,従来システムに比べて十分良好な特性が得られることを明らかにしている.
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