研究概要 |
本研究課題においては,以下の研究成果が得られた. 16年度 算術符号の符号語の終端部分に含まれている,語頭フリー符号としては冗長な部分の平均長さに関する理論的な評価を完成させた.さらに,生成したい先の確率分布(ターゲット分布)に対応した算術符号の復号器によって,生成元の情報源出力系動をターゲット分布に従う系列に変換する場合に生じるうる二つの問題,すなわち,1)復号過程をどこで停止すればよいか,2)変換された系列からもとの系列を正確に逆変換できるか,を同時に解決するアルゴリズムを開発した. 17年度 情報源からシンボルが発生する時間間隔を考慮した符号化・復号化プロセスを考察するとともに,算術符号において,各時刻の情報源シンボルを処理して生成された符号語の部分列(断片)の長さ,断片が出力される間隔の統計的性質をしらべた.計算機実験から,断片が出力される間隔は幾何分布にしたがうこと,断片長の分布は幾何分布とは異なることが明らかになった. さらに,復号器における復号系列の生成過程を調べ,復号系列の断片の長さは独立ではなく,幾何分布でもないが,断片の間隔に関しては,符号語断片の場合と同様,独立な幾何分布としてモデル化できることが判明した. 最後に,ある時刻で情報源で発生したシンボルが復号器で復号されるまでの時間間隔(シンボル遅延)の分布を計測した.その結果をもとに,定常無記憶2元情報源に対して,一定値以下の遅延が生じる確率を算出した.
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