配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
光ファイバ通信の大容量化に対し,波長分割多重方式(WDM)が有効である.最近,WDMの伝送特性に対し,ファイバ非線形効果の影響が顕著となってきている.ファイバ非線形効果の中でも,自己位相変調(SPM)と相互位相変調(XPM)は常に生じている.数値的にSPM/XPMの伝送特性への影響を評価する場合,split-step Fourier(SSF)法が通常用いられる.しかし,SSF法はファイバを短く刻んで計算していく方法なので,長距離伝送になってくると,計算時間が膨大となる. 本研究ではSPM/XPMのWDM伝送への影響を高速に評価する方法を開発する.対象とする変調方式は強度変調と差動位相変調(DPSK)である. まず,強度変調について検討を進めた.非線形伝送後の波形の近似手法を適用し,識別タイミングにおける振幅の標準偏差に対する解析的表式を得た.しかし,これだけでは誤差が大きい.そこで,XPMに付随する2次SPMの影響と,さらに高次SPMの影響を近似して考慮に入れた.標準偏差の最終結果は,シミュレーション結果とよい一致をする. 次に最近注目されているDPSKについて検討を行なった.DPSKの場合,強度変調の場合に加えて,SPM/XPMによる位相変化まで考慮しなければならないため,その前に波形劣化と誤り率(BER)との関係について検討した.BERは扱いにくいので,BERと1対1対応するQ値を利用した.そして,DPSK信号の各ビットの統計からQ値を求める方法を開発した.この方法は波形劣化した信号に対しても適用可能であり,パラメータ設定によらず,従来の方法より精度よくQ値を求めることができる.この研究中に,SPM/XPMによって波形劣化したDPSK信号において,強度変調の場合にはなかった,しきい値-BER曲線の異常な振る舞いを発見した.詳細な検討の結果,その原因を突き止めることができた.
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