研究概要 |
線形符号の局所重み分布の効率がよい計算法の開発を行った.記号位置置換を活用し部分符号の剰余類を局所距離分布への寄与が同一のもので分類する方法を基本とした計算法を開発した.また,剰余類内での記号位置置換不変性を有効に用いる方法も考案した.さらに,トレリス構造を活用して,計算量の削減を図り,半分程度に削減した. BCH符号やリード・マラー符号では,拡大符号のほうが広いクラスの記号位置置換不変性をもち,局所距離分布の計算が容易になる.拡大符号の局所重み分布から,元の符号の局所重み分布を求めるのに有用ないくつかの理論的な知見を得て,拡大符号から元の符号の局所距離分布を計算する方法を考案した.さらに,リード・マラー符号に関して,より低次のリード・マラー符号でコセット展開したときの各コセットの局所重み分布への寄与について,いくつかの理論的知見を得た.これらを用いて,符号長128や256の符号の局所重み分布を求めた.特に,符号長256の3次のリード・マラー符号である(256,93)符号について,局所重み分布を計算することができた.また,局所重み分布を用いて,復号誤り率に関するSeguin下界が改良できることを示した. 次に,誤り特性の良い符号の探索に関する成果について述べる.最大距離分離符号であるリード・ソロモン符号の2元イメージのうちに,最小距離が大きい符号が含まれている可能性が高い.このクラスを含め,探索を行った.復号複雑度も重要な符号の評価尺度であるため,探索にあたっては最尤復号法の復号複雑度が小さいことも探索条件としている.このために,2元展開したときにトレリス複雑度が小さくなるようなビット配置を考案した.有限体GF(256)やGF(64)上の符号について探索を行い,連接符号の内部符号として適当な(64,40)符号として,いくつか良い符号をみつけることができた.
|