研究概要 |
本研究では小さな振動体の振動分布を多点同時測定して可視化する目的で、光学式振動分布測定システムを開発した。同システムは、人工弁の振動分布計測用に特化して平成15年度までに開発したシステムをベースとし、諸特性を改良・拡張して汎用の振動分布計測システム実現を目指すものである。センサユニットとして光ファイババンドルとレンズを使用した非接触型の小型変位センサを開発し、また小型の光電変換ユニットを新たに設計して各種ノイズ対策を行った結果、センサ単体の特性で変位分解能10[nm],ダイナミックレンジ90[dB]以上,80[kHz]の周波数帯域を実現した。同変位センサのヘッド部分は最大外径2.5mmであり、専用に製作した小型ナットと治具を使用して最小4[mm]間隔での設置が可能となっている。同センサユニットを64チャンネル分製作してアレイ化することで、空間分解能4[mm],最大64カ所での同時計測を可能とする振動分布計測用ハードウェアを実現した。 本システムの特徴は被計測面を使用した校正機能にある。アレイ化したセンサブロックをリニアアクチュエータで駆動し、振動面静止時の変位出力特性を記録して校正データとすることで振動面の性状に依存しない高精度計測を実現した。また、多点同時計測時に重要となる個別のセンサヘッド位置微調整のため、データ校正時に微調整用データを算出して提示する機能も開発した。 さらに、振動分布の直感的な把握のため、振動面の変化を3次元のアニメーションとして表示するソフトウェアを開発し、振動分布の可視化を実現した。 開発した振動分布計測システムを評価するため、マイクロインジェクション用小型アクチュエータの振動面測定に応用した結果、振動状態の詳細を可視化して即座に正常・異常を判断することが可能であることが示され、本システムの有効性が実証された。
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