研究概要 |
本研究の目的は,低侵襲外科手術用の内視鏡を操作するロボット(腹腔鏡把持ロボット)を,術者の望む視野を自動的に確保するために,ハイブリッド最適制御に基づき高性能化・ロバスト化することにあった.そのためにまず腹腔鏡把持ロボットを視覚フィードバックシステムとして捉えモデリングし,得られた数学モデルに基づき制御系設計のための問題設定を行つた.本研究では特に,最適制御から発展したモデル予測制御を視覚フィードバックシステムに適用した.ロボットマニピュレータのダイナミクスのエネルギー関数に着目し,このエネルギー関数をモデル予測の最適性に用いることにより,システムの高性能化・ロバスト化を達成した.この手法により,視覚フィードバックシステムに対するシステマティックな非線形制御系設計手法を明らかにした. つぎに,内視鏡を操作するロボットに穿刺作業などをサポートするロボットを組み合わせるために,カメラを操作するロボットと作業をおこなうロボットを一つのシステムとして捉えた可動カメラを用いた視覚フィードバックシステムを構成し,制御系を設計した.具体的には,視覚サーボ問題にロボットの追従問題を加えて数学的にモデリングし,得られた数学モデルに基づき,制御系設計のための問題設定をおこなった.そして,システムの有するエネルギー関数を用いて設計をおこなう手法に基づき,作業ロボットと併せた腹腔鏡把持ロボットの視覚フィードバック制御をおこなった.そして,2台のロボットと画像処理装置を組み合わせた動的視覚フィードバックシステムに対して,実際にディジタル制御装置を用いて検証実験をおこない,制御則の有効性の検証をおこなった. さらに,視覚と力・触覚を融合することで視触覚ハイブリッドシステムを構成し,制御系設計法を提案した後にシミュレーションにより有効性の検証をおこなった. 最後に,研究の成果のまとめと発表をおこなった.
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