研究概要 |
スプライン関数を用いて曲線や曲面を最適に設計する問題について,その基礎理論と応用に関する研究を行った.すなわち,「平面内あるいは空間内に与えられたデータ点に対して,それらの点あるいはその近くを通り,かつ滑らかな曲線や曲面を最適に設計する」という基本的問題およびそれを発展させた問題に対して,特に数理的,制御論的な立場から整然とした理論を構築し,さらにその結果を工学分野等における様々な現実の問題に適用することを目的とした.以下のような成果を得た. 正規化された一様なBスプラインを基底関数とする最適な平滑化曲線や曲面の設計法を示し,最適解の存在と唯一性の定理を導出し,さらに与えられたデータ点の個数が増加したときの漸近的性質の解析,データノイズに対する統計解析などを行った.最適スプラインの理論とダイナミック文字フォントの生成方式に基づき,書道におけるような草書体文字や文字列を生成する方法を開発した.また曲線・曲面に周期性条件を加えることによって最適周期スプラインの設計理論を展開した.その応用として,クラゲや赤血球などのウエットマテリアルの輪郭,形状モデリング,および得られたモデルによる運動や形状変化の解析等を行った.また,設計されたスプライン曲線が連続微分可能な区分的多項式であるという性質に基づき,そのすべての極値を検出,計算する方法を導いた.その応用として,デジタル画像のエッジ検出法を開発した.一方,線形システムの最適制御による定式化を用いて最適スプライン,最適周期スプラインの設計方法を導き,さらにエルミート補間に対応する多階層平滑化スプラインの設計方法を導いた.微分方程式の数値解法や数値積分など数値解析分野への応用について予備的な成果を得ている.
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