研究概要 |
大型建設車両に装着されているORタイヤを用いて,踏圧面を確保しながら軸荷重との組合せによる厚層転圧方法についての検討を行った.実用技術として確立されれば,高効率施工に寄与するとともに,省エネルギーによる環境負荷低減および既存建設機械の有効活用につながるものと考える.以下に得られた知見を示す. 1.ORタイヤ接地圧は深さ方向に対して急激に減衰しているが,軸荷重が大きくなるほど接地面と地中との応力比が大きくなる傾向は顕著に現れており,軸荷重を増加させることによって深層1m付近では垂直応力増加が十分に見込めると同時に応力比の深さ方向変化が小さくなる. 2.重ダンプトラックの推定転圧効果は複輪において転圧4回目以降300kPaを超えており,深層部に応力伝播が十分に及んでいる.ORタイヤを近接して複輪として配置している重ダンプトラックは締固めに有利な構造になっている. 3.砂質土のせん断特性を考えた場合,土のダイレイタンシーにより締固め効果が現れ,せん断応力を考慮した締固めモデルを用いれば,垂直応力のみで評価した場合と比較して締固め度は実タイヤ転圧試験において3%程度向上している.この値は実験範囲内の軸荷重による締固め度上昇幅を上回っており,せん断応力による効果は十分に認められる. 4.ORタイヤはその走行に伴う地盤変形によってせん断応力を生じ,空気圧の設定によって垂直応力,せん断応力を制御できるため,軸荷重との組合せにより締固め性能を選択できる. 5.ORタイヤと運搬車両の特徴を利用した重ダンプトラック実車両現場厚層転圧試験において,深層部まで一定の転圧効果が現れた.試料土に対する32tf積重ダンプトラックによる転圧効果は,転圧50回,深さ70cmにおいて基準密度の90%に達している.
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