研究概要 |
本研究では,従来ほとんど注目されていなかったかわらの飛散の前兆現象である動揺(がたつき,ずれ)に着目し,風洞実験によりそれらのメカニズムを解析した.この結果,以下のことがわかった (1)飛散直前のかわらの振動周波数は,ハンマリング試験で得られた固有振動数とほぼ一致した. (2)風向角の影響については,風向角が増すにつれ,振動や飛散を引き起こし易くなり,飛散に至る風速も低下する傾向が見られた.また,振動や飛散を引き起こし易いかわらは局所的に限定され,屋根下流の右端に集中していることがわかった. (3)屋根の傾斜を変化させた場合,緩やかな勾配では振動や飛散に強く,勾配が急になるにつれて,振動の発生が早まり,その結果,飛散し易いことがわかった. (4)かわらの飛散に影響を及ぼす屋根勾配の影響は,勾配が急になるにつれて,加速度の絶対値および変動の振幅も増加する傾向が新たに判明し,加速度情報を解析することにより屋根勾配の影響を再度確認することが出来た. (5)飛散直前に現われるかわらの波うち現象が観察でき,隣接する2枚のかわらに作用する力が同期したり,位相がずれたりする現象を解析することが出来た. (6)高速度ビデオカメラの映像解析により,飛散現象に最も大きな影響を及ぼす低周波数の振動数を同定することができ,かわらの挙動を支配する主な要因(外部圧力と内部圧力とのバランス)を明らかにすることが出来た.また,かわらに作用する力の発生メカニズムも明らかとなった.
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