研究概要 |
本研究では、レベル2地震動を受ける道路橋RC橋脚の加速度・変位・加速度及び変位の各応答スペクトルを用いた力・変位・力及び変位に基づく耐震設計法を開発し,現行道示の保有耐力法も含め,各設計法による単柱式RC橋脚の設計結果を比較検討した.得られた主な知見を列挙すれば以下のようである。 1.設計用非弾性応答スペクトルについて:(1)レベル2対応の道示推奨の模擬地震動,最大地動の距離減衰式を満たす模擬地震動及び兵庫県南部地震の実地震動記録各12波の平均加速度応答スペクトルは大きく異なる.(2)修正Parkらの損傷指標の所定値D_rを満たす道示推奨の模擬地震動各12波による各種応答スペクトルの(平均値+標準偏差)スペクトルは,地震動タイプ,地盤種別,系の構造特性値(復元力特性,終局塑陛率,減衰定数,塑性剛性率),Parkらの損傷指標の所定値D_r及び正の係数βの値によって異なる.したがって,(3)耐震設計に用いる各種非弾性応答スペクトルを導く際にはこれらの点に十分留意する必要がある. 2.耐震設計法について:(1)1)加速度-変位応答スペクトルを用いた力及び変位に基づく設計法,2)速度応答スペクトルと適当な(現行道示等の)設計地震力を併用した変位に基づく設計法,3)加速度応答スペクトルを用いた力に基づく設計法を開発した.(2)タイプII地震動を受けるII種地盤上の単柱式RC橋脚を設計した場合,上記1)及び2)の設計法の方が3)及び現行道示の保有耐力法よりも橋脚に大きなねばりを要求する結果となる.したがって,設計条件に速度応答スペクトルを導入した前者の方が後者よりも安全側の設計法となる.(3)単柱式RC橋脚の固有周期T=0.1〜1.0秒の範囲では,非弾性応答解析より求めた加速度応答スペクトルを用いた上記(3)の設計地震力の方がエネルギー定則に基づく現行道示の地震力より大きな値となる.
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