研究概要 |
本研究では,2000年東海豪雨時の交通実態分析および対策の研究において、以下の1)-4)の項目について研究し、結論を得た。 1)地形データに基づく道路冠水・自動車走行断念地点の特性解析 東海豪雨時の走行断念地点と地形的な特性との関係について、特に自動車走行経路データと地形的影響を中心に分析したが、地形図に対して、自動車走行断念地点をビジュアル化することができた。 2)実データに基づく速度別走行経路図の動画シミュレーションの開発 本研究では集中豪雨下で走行した経路を地図上に記入して頂いている。本研究では、この表示方法を高度化して、短い時間単位で速度別経路図の実際の移動部分がリアルタイムに動いていく動画シミュレーションを開発して、平成16年度ITS世界会議等で発表した。 3)豪雨時の交通評価分析 豪雨時の走行体験ドライバーの意識データから,どの程度の豪雨下で,激しい渋滞の程度の時に,帰宅出発行動を遅らせたり,取りやめたり,経路変更をしたりするのかの,行動変更モデルを比較的高い精度で構築する事ができた.この結果,送迎目的または出勤・帰宅目的、降雨量30mm以上,速度15km/hr以下、走行距離10km以上になるドライバーの出発変更率が高くなる傾向がわかった.このモデルにより,今後の豪雨時の自動車交通行動の予測と交通評価がある程度可能となったものといえる. 4)徒歩,公共交通を含めた手段別交通実態分析 既存研究で行っている調査の範囲では徒歩,公共交通についての十分なデータが得られないことが分かったので,17年度新たに集中豪雨の特に激しかった東海市,大府市における追加調査を行い分析を行った.これより,豪雨当日の徒歩,公共交通帰宅実態が明らかとなった.また,当日の帰宅行動に問題があったかどうかの自己評価には,所要時間などの帰宅困難さが影響していることがわかった.また,今回の豪雨経験は今後,豪雨が予測される帰宅時交通行動に影響を与え,災害時の連絡方法等の理解度等の意識の高さにも関係することなどが示された.
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