研究概要 |
本研究は,Virtual Reality (VR)技術の適用により,渋滞対策,安全対策の観点から,高速道路合流部における交通挙動の実態把握・解析を行うことを目標とし,特に設計指針の確立が求められている付加車線(加速車線)と交通挙動の関係に着目した. 平成16年度は,付加車線長の違いによる合流車挙動の変化を分析した.その結果,付加車線を延伸した場合,特に本線の交通密度が高い場面において顕著に合流車挙動の自由度が増すことが明らかとなった.これは合流車の視点で見ると付加車線延伸は渋滞対策の観点から有効であることを示していると捉えることができる.ただし,付加車線延伸時に,本線車より速い速度で合流する合流車が多く確認されているが,これらの合流車が合流するギャップの後方車(以下,合流ギャップ後方車),および合流ギャップ後方車に続く本線車両が受ける影響については確認されなかった. この課題を受けて,平成17年度では,付加車線延伸時の本線車両の挙動解析を目的として研究を行った.得られた結果から,付加車線長を600mに延伸することにより,付加車線長200mの場合に見られる減速波の増幅,およびボトルネック現象が緩和される傾向にあるという知見を得た.この知見と平成16年度で得られた知見は課題となっている付加車線延伸の定量化に寄与するものであると考える. また,ドライビング・シミュレータを用いた実験において,合流車および合流ギャップ後方車の挙動について現況再現性を確認できたことは,本研究で得られた知見からも分かるように,今後VR技術の適用により,合流部の交通挙動を解明できる可能性が広がったと考えられる.
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