研究概要 |
水平振動外力を受ける円筒タンクの定常応答にある条件の下で、強烈な応答を示す1/2倍分数調波振動や1/3倍分数調波振動が分岐する。これらの分数調波振動が発生のメカニズムは解明されていない。円筒シェルタンクの供試体を作成し、内部に入れる水の量をパラメータとして変化させ、30Hzから540Hz程度までの正弦波で駆動させた水平振動台に載せて応答を測定し、基本振動成分、外力振動数の1/3倍、1/2倍、および3/2倍の分数調波振動成分、それに2倍、および3倍の高調波振動成分と周方向フーリエ級数展開次数n=0,1,・・,8のモードとを組み合わせた振動モードの応答曲線を分析し、各振動モードの固有振動数、不安定領域における応答の振動モードの大きさ等を分析した。 不安定領域の外力振動数と、この領域内において大きな振幅を示す応答振動モードの関係を分析した。この結果、周方向展開次数n=0,4,5,6を有する振動モードに対応する固有振動数の2倍の外力振動数近傍、およびこれらの任意のふたつの異なる振動モードに対応する固有振動数の和の外力振動数近傍において、1/2倍分数調波振動成分が分岐すること等が判った。これらの不安定領域で分岐した振動成分が大きな振幅になると、1/3倍分数調波振動成分が発生し易くなることが示された。すなわち、1/2倍分数調波振動成分等の発生のメカニズムが解明され、分数調波振動が分岐する不安定領域を予測することを可能とした。 また、過去の実験に同じように作製された円筒タンク供試体において、この不安定領域の出現に大きな相違が見られる応答を観測した。この相違の発生要因を明らかにした。さらに、非線形振動はふたつ以上の振動モードの固有振動数の大きさの組み合わせで生起するため、発生の条件が線形振動と比較すると、複雑な発生条件となることを示した。
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