研究概要 |
本研究グループでは,初学者が力学を視覚的にとらえ,体験的に学ぶカリキュラムを開発し,建築構造および安全教育を初学者にわかりやすく啓発するための教育コンテンツを制作することを目的として活動を行った。研究開始年度および翌年度は,体験型の新規教材を開発し,試作した教材を用いた教育モデルの実践とその効果の測定を中心に研究を実施した。最終年度には,学習効果の解析および本研究のまとめとして授業実践の詳細な手引き書を作成した。これらを通じて大学における初年次教育の重要性を提案し,それに対応する体験型授業の運営のための参考資料をまとめた。 1)新しい教材を用いた授業実践による授業モデルの立案と教員向け手引き書の作成 研究開始後2年間にわたる共同研究者間の討議および試行によって,初年次教育のあり方とその目的に沿って試作した教育モデル,教育ツールの改善点などを明らかにした。3年間に渡る実験器具等の制作と2年間の授業実践を通じて,これらの教材の完成と公開をめざした。最終年度には,グループ実習での学習効果を確認するために行ったアンケートを分析し,傾向を把握することと,これを全国で授業実践できるようモデル化して,手引き書にまとめた。特にモデル化した授業やその手順を,詳細に報告書にまとめ,授業を実際に計画するための教員向け手引き書を完成することで,学習目的とその効果が明確になった。初年次教育は,学習意欲の低下した学生に高度な専門教育を学ぶための動機付けとして機能するものであるが,本研究では,充実した体験が可能な授業モデルの提案を行った。 2)授業実践と学生の授業時理解度の測定 試作した作品を授業で実践し,授業の様子を記録した。これらを教員間で討議し,教育改善の方向性をさぐった。記録および各自のレポートにおける考察結果などから,学生の理解度の分析を実施した。 学生はこうした体験型授業に対して、たとえ苦手な構造分野であっても興味度合いは高く,初年次教育としての効果が認められる。また手を動かし,レポートで考察することを通して深い理解が得られ,授業時の理解度からレポート完成後に理解度をより高めているという結果になった。
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