研究課題
基盤研究(C)
(1)家族のコミュニケーションと子供の居場所という図式の中に、携帯電話やインターネットなどのIT化の課題が参入してきている。(2)情報機器の使用による「家族のコンタクト」と「子供の居場所」の関係への影響について、一定の成果を得た。(3)情報機器を持っていない頃より、持っている頃(現在)の方が、リビング等の空間を、公的空間であるとの認識が減少し、半公的空間(家族がいたら公的空間、誰もいないときは私的空間)であるという認識が増加していた。情報機器への所有・依存と住宅内における公私空間の認識との関係性が伺われた。(4)情報機器の使用頻度が高い等々を「情報機器依存」であるとみなし、実験ほかを行った結果、子供室の孤立性による情報機器依存への影響や、情報機器依存による空間認識(特に、携帯電話依存による公空間認識、現実空間と仮想空間(虚空間)の認識の同一化の傾向、等)や生活行為・行動への影響等の可能性、更に、家族のコミュニケーションへの直接的な影響、等々を確認した。(5)情報機器の使用と子供の住空間及び空間認識との関係について、情報機器の依存に子供室の孤立性が間接的に影響を及ぼしている可能性と、携帯電話への依存が公空間における行為に影響を及ぼす可能性が伺われた。子供室のあり方は、情報機器への依存に影響を与え、また情報機器への依存は、空間認識に変化をもたらしている傾向が認められた。(6)子供の問題及び情報機器に関する課題、更にはそれらと住空間との関係性に係る諸要因を得、その全体構図化への試みを行った。(7)情報機器によるメディア空間に対応する、住空間における空間的支援、ほかの支援関連の考察を行い、一定の成果を得た。(8)総じて、情報機器の影響は、現状では、過分に懸念・悲観する状況ではないものの、少なからず影響が現れていることが分かった。(9)残された課題は、時系列的な研究継続、アフォーダンスの観点からの研究展開、他である。
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