研究課題/領域番号 |
16560584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | (財)国際科学振興財団 |
研究代表者 |
大塚 和弘 (財)国際科学振興財団, 研究開発部, 専任研究員 (50029881)
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研究分担者 |
大庭 卓也 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00211110)
森戸 茂一 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00301242)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / Ti-Ni-Cu合金 / 放射光 / 高減衰能材料 / 内耗 / 双晶 / 水素 / 2段変態 |
研究概要 |
Ti_<50>Ni_<50-x>Cu_x形状記憶合金は極めて高い内耗を示す防振材料として注目を集めている。この合金は10=x=15の組成範囲でB2-B19(orthorhombic)-B19'(monoclinic)の2段マルテンサイト変態を示すが、x>15以上で2段変態を示すかどうかは明らかでない。一方x>15でこの合金が250K付近の温度でbroad peakと呼ばれる極めて大きな内耗(Q^<-1>=0.2)を示すことを研究代表者が以前の研究で見出しているが、この大きな内耗の起源を探るためにはx>15以上の組成も含めてこの合金系でのマルテンサイト変態の特徴を明らかにすることが不可欠である。このため本研究では放射光施設(SPring-8)の高強度X線回折装置を用いた詳細な研究を行い、x>15でも2段目の変態が起こることを確認し、その変態温度も決定できた。更にこの合金が12=x=20の組成範囲では、試料のごく一部しか2段目の変態を起こさないという極めて特異な特徴を持つことが明らかになった。以上の結果から複数現れる内耗ピークを分離解釈することが可能になった。そこでDMA装置を用いて詳細な内耗の研究を行った。この結果以前我々が発表した極めて高い内耗の"broad peak"は緩和型ピークであることを明らかにし、その活性化エネルギーとして以下の値を得た;E=0.67eV(x=20),E=0.77eV(x=16)。更に単結晶を用いた実験により、引張試験で試料中の双晶を除いてしまうと、"broad peak"も消えてしまうことを見出し、"broad peak"の生成に双晶界面の存在が不可欠であることを直接立証した。尚この内耗は、水素処理をした時にのみ現れるという他の研究者の報告があるが、我々の場合には、水素処理をしない普通の熱処理で極めて高い内耗が現れるので、この報告に懐疑的であったが、我々の試料に脱水素処理をしてみると、確かに"broad peak"は消えるので、水素の影響もあることを確認した。しかも脱水素処理をした試料では、もっと低温(178K)に新しい緩和型のピークの現れることも見出した。これらの結果は、高い内耗を得るには双晶界面と水素の存在が不可欠であることを示している。これらの成果は、この内耗の起源も含め現在Acta Materialiaに投稿中である。
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