研究概要 |
立方晶ポルーサイト(CsAlSi_2O_6)化合物をテンプレートとし,Csサイトをイオン半径および価数の異なるカチオンで部分置換することにより,骨格構造を変えることなく,Al/Si組成比を変化させつつ結晶構造内のナノ空間率を制御したCs-リューサイト化合物を多段階焼成法により合成した。合成した化合物の熱膨張挙動を高温-,低温-XRDにより298-1273Kの範囲で詳細に調査した。以下に,本研究で得られた成果をまとめた。 1.Cs-不足型ポルーサイト:Cs_<1-x>Al_<1-x>Si_<2+x>O_6,Na-導入型ポルーサイト:Cs_<1.0>Na_xAl_<1+x>Si_<2-x>O_6,Na-置換型ポルーサイト:Cs_<1-x>Na_xAlSi_2O_6,Li-置換型ポルーサイト:Cs_<1-x>Li_xAlSi_2O_6の合成に多段階焼成法を用いることで成功した。 2.合成したCs_<0.8>Al_<0.8>Si_<2.2>O_6とCs_<0.75>Al_<0.75>Si_<2.25>O_6の熱膨張係数は非常に小さい値を示した。 これは,結晶構造内の空隙率とAl/Si比の増大によるものであることを明らかにした。 3.Cs-不足型ポルーサイト化合物は123Kまで立方晶であり,構造相転移を示さなかった。 4.Na-置換型ポルーサイト:Cs_<1-x>Na_xAlSi_2O_6およびLi-置換型ポルーサイト:Cs_<1-x>Li_xAlSi_2O_6はNaあるいはLi置換量の増大とともに低熱膨張性を示した。 5.合成した立方晶系ポルーサイト化合物の熱膨張係数CTEは結晶構造内のAl/(Si+Al)比,空隙率,Cs^+イオン,Li^+イオン,Na^+イオンの配列の影響を受けていることを解明した。 6.新規なパラメーターとして[Al/(Si+Al)](1+S site occupancy/W site occupancy))を導入することで,合成したすべてのポルーサイト化合物のCTEが相関できることを見出した。
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