研究課題/領域番号 |
16560598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
千田 哲也 独立行政法人海上技術安全研究所, 企画部, 研究統括主幹 (80344240)
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研究分担者 |
村上 健児 独立行政法人海上技術安全研究所, 輸送高度化研究領域, 新材料研究グループ長 (60112067)
川越 陽一 独立行政法人海上技術安全研究所, 輸送高度化研究領域新材料研究グループ, 主任研究員 (90415810)
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科機械電子工学専攻, 助教授 (10222621)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | アルミナ / トライボロジー / 電子顕微鏡 / 微細構造 / 塑性変形 / 摩耗メカニズム |
研究概要 |
アルミナセラミックスは高い耐摩耗性が期待される材料である。アルミナセラミックスのボールオンディスク式摺動摩耗では、摩擦条件によって、比摩耗量が10^<-6>mm^3/Nm以下の摩耗がきわめて低く表面粗さが小さく保たれる状態(マイルド摩耗)と、10^<-3>〜10^<-5>mm^3/Nmの摩耗粉を多量に発生させて粗面化する摩耗(シビア摩耗)が起きる。これらの摩擦面の微細構造の違いを明らかにし、マイルド摩耗からシビア摩耗への遷移メカニズムを解明することを目的として、微細構造と表面状態(平滑面と粗面)の異なる焼結アルミナ(純度99.9%及び99.5%)のディスクとボールを用いて、荷重、温度、摩擦距離を変化させた摩耗試験を実施し、マイルド摩耗状態とシビア摩耗状態の摩擦面の走査(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)観察を行った。 室温においては荷重が40N以下ではマイルド摩耗で、荷重を50Nとすると粒界破壊によるシビア摩耗となり、この傾向は微細構造にはあまり依存しなかった。試料を200℃以上に加熱すると、5Nの軽荷重でも比摩耗量が増大するシビア摩耗となり、500℃程度まではマイルド摩耗状態は得られなかった。 マイルド摩耗状態の摩擦面の表面近傍は層状構造となっており、最表層にはアモルファス状の物質が観察され、電子線回折によるとγ-アルミナに近い結晶構造を示した。この物質は母材のα-アルミナより低硬度であり、摺動面で潤滑機能を示すことが示唆された。シビア摩耗の摩擦面は、微細粒で非常に大きなひずみを有する層があり、その下には転位とマイクロき裂を含む塑性変形層がみられた。表面微細粒の層はα-アルミナであり、マイルド摩耗とは異なった。母材より低硬度であることにより潤滑性を示す表面層を保持できる摺動条件において、非常に摩耗量が低く、かつ平滑な表面が得られるマイルド摩耗状態が発現すると考えられる。
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